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第58回 鉄道90年記念奨励賞

懸賞作品入選者発表

課題【パラリンピックの先にあるものについて考えてみよう】

第一位(賞金15万円)小松崎    潤
第二位(賞金7万円)小 原    忍
第三位(賞金5万円)田 形  隆 尚


懸賞作品選評

選考委員長 小陳 勇一(朝日新聞社 論説副主幹)

 今年度の課題を「パラリンピックの先にあるものについて考えてみよう」に決めた1年前、2020年がこのような年になるとは夢にも思わなかった。新型コロナウイルスという未知の感染症が世界的に大流行し、東京五輪・パラリンピックが延期されたのである。
 この状況の変化に、応募された方々も戸惑われたことと思う。2020年の開催を前提に書くのか、延期されたことを踏まえて書くのか。事務局によると、応募の時期によって、作品の中身はかなり変わったという。そのことが、今回の選考を難しくした一因にもなったと思う。
 1位と2位の2作品には多くの選考委員の高評価が集まり、「甲乙付けがたい。ほとんど差はない」というのが一致した意見だった。
 僅差の選考で、小松崎潤さんの「『何か』のチカラ」が1位に選ばれた決め手は、自分の身近な体験を踏まえた文章の説得力にあった。職場で接した、かつてソフトボールをやっていたという義足の老人。息子の学校での義足体験授業。その学校にユニバーサルスポーツクラブができたこと。そうした経験を踏まえた結論は「さあ、感じよう。考えよう。パラリンピックを見たあと考える『何か』のチカラを僕は信じている」である。
 「筆者なりの考えをもう少し示してほしかった」という意見もあったが、「押しつけがましくなく、多くの人に考えてもらおうという結びは好感が持てる」という声が多数を占めた。
 2位の小原忍さんの「パラリンピックに学ぶアフターコロナ社会」も高い支持を集めた。
 まとまりがあり、読みやすい文章は、1位の作品と全く遜色がないという評価が多かった。パラリンピックで活躍する選手に注目することが多いなかで、パラリンピックの多様なルールに着目し、そこから社会のありようを考える議論に、共感する声が多かった。
 3位の選考も難しかったが、最終的には、田形隆尚さんの「“点”から“線”へ〜“視点”を変えた体験から学び得たもの〜」で一致した。
 この作品を支えているのも、やはり筆者自らの体験である。「バリアフリーはまだ『点』の整備で終わっており、『線』として繋がっていない」という主張に説得力を感じた委員が多かった。
 東京五輪・パラリンピックを2021年に開催できるのか、まだ確かなことは言えない。それでも、だれもが暮らしやすい成熟した社会になるには、何が必要なのかをみんなが考える。そんな機会を持てる年になるよう、期待したい。



第58回 鉄道90年記念奨励賞 第1位入選作品