TOP
最新号目次

協会概要
事業内容・運営・組織

あゆみ

出版物紹介
注文方法

バックナンバー紹介

懸賞作品募集
前回懸賞課題
前回入選作品

お役立ち情報

会員専用ページ

社会福祉法人 鉄道身障者福祉協会
第57回 鉄道90年記念奨励賞

懸賞作品入選者発表

課題【合理的配慮について考えてみよう】

第一位(賞金15万円)森 川  詩 穂
第二位(賞金7万円)小松崎    潤
第三位(賞金5万円)榎 戸     篤
第三位(賞金5万円)山 本     築
佳 作大 角  今日子


懸賞作品選評

選考委員長 小陳 勇一(朝日新聞社 論説副主幹)

 今回の課題は「合理的配慮について考えてみよう」。選考委員会ではまず、この「合理的配慮」という言葉をどこまで厳密にとらえるべきか、議論になった。
 障害者差別解消法で定められた合理的配慮とは、障害のある人から、社会の中にある障害を取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられた時に、負担が重すぎない範囲で対応することを、国と自治体には義務づけ、民間事業者には努力義務として定めたものだ。文字どおりに受け取れば、障害がある人に対し、日常生活の中でどう思いやりのある行動をするかといった話題は「合理的配慮」にはあたらない。そうすると、今回応募のあった多くの作品が選考の対象から外れてしまう。
 しかし厳密な意味にこだわって選考対象から外すには、あまりに惜しい作品がいくつも目についた。結局、委員会では、「合理的配慮」につながる考え方に触れていれば、選考の対象とすることにした。
 第一位は、森川詩穂さんの「心に二つのものさしを」。それぞれの人の障害や個性に合わせて必要な支援や配慮を行うことが大切だが、どんな配慮が必要なのかを決めるのは当事者自身である。このことを、教師として2人の生徒と向き合いながら学んでいった様子を、平易な文章で描いてあり、読む人の心に響いた。
 選者からは「多くの読者が合理的配慮について考えるきっかけになるのではないか」「この文章を読んで、『自分もこういう経験をした』と振り返る人も多いだろう」といった声が出た。
 第二位は、小松崎潤さんの「ちょっとの先に、きっと」。公園を走っていて、たまたま視覚障害者マラソンの伴走者となるよう依頼された筆者は、引き受けたものの失敗を重ねる。そして必要な配慮とは何かが見えてくる。
 求められる配慮は一人ひとり異なり、正解はない。相手が何を必要としているのか知るためには、コミュニケーションが欠かせない。このことをつづる文章には、筆者の優しい人柄がにじんでいるように感じられた。
 第三位は2作品。「イタリアの踏み込む配慮と、日本の慮る配慮」の筆者、榎戸篤さんは自身も弱視。イタリアを旅した際に感じた、日本とイタリアの「配慮」の違いをユーモラスに、かつ説得力ある文章で表現した。
 山本築さんの「合理的配慮と対話」は、小学生時代の同級生と義姉という障害を持つ2人の相手と接した経験から、望ましい配慮のあり方をまとめた。義姉と兄、筆者を包む空気の温かさが感じられる作品だ。
 佳作は大角今日子さんの「Nothing About Us Without Us〜私たち抜きに私たちのことを決めないで〜」。突然難病を患った筆者が職場に復帰する際に直面した困難をつづる。「私だって主体的に考えたい」「やりがいまで削らないで欲しい」。その言葉を正面から受け止めなければならないと思った。



第57回 鉄道90年記念奨励賞 第1位入選作品