TOP
最新号目次

協会概要
事業内容・運営・組織

あゆみ

出版物紹介
注文方法

バックナンバー紹介

懸賞作品募集
前回懸賞課題
前回入選作品

お役立ち情報

会員専用ページ

社会福祉法人 鉄道身障者福祉協会
第54回リハビリテーション懸賞作品

懸賞作品入選者発表

課題【進む高齢化と障害者 ―「皆が過ごしやすい社会づくり」について考えてみよう―】

第一位(賞金15万円)徳 田  有  美
第二位(賞金7万円)井 上  奈美江
第三位(賞金5万円)成 嶋   徹
第三位(賞金5万円)秋 山  瑞  葉
奨 励 賞竹 内  し ゅ う


懸賞作品選評

選考委員長 田 中 雄一郎(朝日新聞論説副主幹)

 今年度のテーマは「進む高齢化と障害者」で、副題が「『皆が過ごしやすい社会づくり』について考えてみよう」。108作品の応募があった。
 入選した作品は、身近な体験から説き起こして主張につなげる構成が共通していた。やはり具体的なエピソードをまじえた方が、読みやすく、わかりやすい。
 第1位に輝いたのは、徳田有美さんの「明日咲く花」。外見は健常者と変わらないものの障害のある徳田さんと、視覚障害者である友人との電車通勤の様子から話は始まる。
 選考委員からは「とても不思議な関係で、すてきな出来事」といった声も。教員という徳田さんの立場もからめつつ、福祉教育や社会福祉施設の現場に対する問題意識へと展開していった論旨はわかりやすい。「福祉という名の小さな種が(中略)人々の心に根付く」社会を目指していきたい。
 次に評価を得たのは、井上奈美江さんの「まずは自分から」。高齢化に伴う難聴で、家族の話の輪から遠ざかることが増えた夫の祖母。やはり耳が不自由な筆者が、持ち歩いている筆談ボードを義祖母のために使ってみたら、再び団欒に戻ってきた。その様子を淡々と、かつ生き生きとつづった。
 誰でも歳を重ねると何らかの障害を有するようになる。「みんなが自然に、出来ることを出来る範囲でフォローしてあげればいい」という主張は肩の力が抜けており、すんなりうなずける。
 第3位は2点。成嶋徹さんの「鉄道スイマーの役割」。手足が不自由ながら鉄道会社の駅員として奮闘し、水泳選手としては2020年の東京パラリンピックを目指しているという。どんなにインフラや機器が整っても、「障害の有無に関係なく自らの力を発揮できる社会には、人によるサポートが必要」と訴える。駅員である自らへの言い聞かせであり、社会への問いかけでもあろう。
 秋山瑞葉さんの「優しさは連鎖する」は、けがで松葉杖生活を余儀なくされた日々に感じたことをまとめた。両手が使えないので傘も持てず、階段では下りに恐怖を感じること。多くの人のやさしさに触れ、だから困っている人のサインを見落とすまいと歩きスマホをやめたこと。エピソードにも文体にも派手さはないが、筆者が好きな言葉だというタイトルそのものだ。
 以上4点に加えて、竹内しゅうさんの「気づきと関わり」が審査員奨励賞に選ばれた。お年寄りから戦争体験を聞きたいという動機で介護施設のボランティアに参加した中学生だ。ちょっとした動作も大変な高齢者の様子にショックを受け、お礼の言葉に感激して、「お手伝いをしてあげよう、という考えが浅はかだった」と気づく。高齢者とかかわる場は学びの場だったという振り返りは、素直でみずみずしい。
 若い世代からは、新渡戸文化高校の4人の女子高生の作品もあった。学校で取り組み、代表的な4作品を応募したという。いずれも甲乙つけがたく入選は見送ったが、高齢者や障害者への関心をどんどん深めていってほしい。



第54回リハビリテーション懸賞作品 第1位入選作品