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鉄道150年記念障害福祉賞(令和5年度)

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社会福祉法人 鉄道身障者福祉協会
令和5年度 鉄道150年記念障害福祉賞

懸賞作品入選者発表

課題【アフターコロナにおける地域共生社会について】

第一位(賞金20万円)松 尾  香 奈
第二位(賞金10万円)西 山    誠
第三位(賞金5万円)打 越  玲 奈
第三位(賞金5万円)西 川  かつみ


懸賞作品選評

選考委員長 石川 尚文(朝日新聞社 論説副主幹)

 コロナ禍は、私たちの社会に大きな試練を与えた。今も苦しむ人は少なくなく、過去の話になった訳ではない。
 それでも、この厳しい経験を糧にしながら、自らと社会のあり方を一歩前に進めようという動きが、着実に広がっている――。「アフターコロナにおける地域共生社会について」というテーマに寄せられた作品を読んで感じるのは、そうした心強さだった。
 選考委員のほぼ全員一致で第1位になったのは、松尾香奈さんの「『ことば』を欲して」だった。聴覚障害を持つ松尾さんが自らの体験から感じ取った、身近な人々の「共生」に向けた微妙だが重要な変化を、鮮やかに描き出している。
 マスク社会の中で装用を余儀なくされた補聴器を、三年ぶりに外して街にでる。すると「そこには、私が欲しかった『ことば』があった」という表現が印象的だ。変化はまだ「芽」に過ぎないかもしれない。だが松尾さんは、「焦ってはいけない。スモールステップでいこうではないか」とも付け加える。その視点も頼もしい。
 第2位は西山誠さんの「アフターコロナにおける家族のつながりとテクノロジーの進歩」が選ばれた。筋ジストロフィーの患者としての入院生活に、コロナ禍が与えた影響は甚大だ。その中で、自らにとって大切なことは何かを深く考え、それを貫くために新しい技術の活用にも積極的に取り組む。その歩みが、手堅い考察に結実している。説得力が高いとの声が集まった。
 第3位、打越玲奈さんの「中学生活とコロナ」は、素直な視点と前向きの姿勢を感じさせる爽やかな作品として高い評価を得た。貴重な10代前半の3年間、行事は中止、アルバムはマスクをしている写真ばかりといったつらい経験をしながらも、徐々に自ら歩み、地域の人と触れあう。そこから見えてくるものが、無理なく腑に落ちる優れた文章力にもうならされた。
 同じく第3位、西川かつみさんの「命のとき」は、ときに読むのがつらくなるほど胸を打つ作品だ。自身の闘病や家族の過酷な状況を描きながら、それでも前向きに生きていく姿勢を保ち続けようとする意志が強くにじむ。募集テーマとはやや距離感もあるが、個人の思いや家族のつながりこそが「共生」の基礎にあるとして、支持を得た。
 このほか、惜しくも選を漏れた作品にも、はっとさせられる視点や、制度面の改善に向けた提案が様々にあり、多くのことを教えられた。応募されたすべての皆さんに、この場をお借りして深く感謝致します。



令和5年度 鉄道150年記念障害福祉賞 第1位入選作品


お詫び
 「リハビリテーション」臨時号の表紙、目次および入選者発表において、テーマ名に誤りがありました。
 正しくは「アフターコロナにおける地域共生社会について」です。
 お詫びして訂正いたします。